ご家庭でソーイングを楽しんでいるほとんどの方は「カバーステッチミシン」を購入する必要はありません。
理由は
①用途が限られている
②とにかく高価
からです。
カバーステッチミシンがなくても「カバーステッチ風」に仕上げる方法があるので紹介します。
カバーステッチミシンとは?
「カバーステッチミシン」とは「カバーステッチ」ができるミシンのことをいいます。
では、カバーステッチとは何でしょうか?
皆さんがお持ちのTシャツの裾(すそ:下端の部分)を見てください。
このように2本のステッチが入っていませんか?
裏側はこちら。
ロック処理されたような感じになっています。
このように表のステッチと裏側のロック始末を一度に処理することを、
「カバーステッチ」
といいます。
そしてこの処理ができるミシンのことを「カバーステッチミシン」といいます。
カバーステッチを入れることができるミシンは2種類ある
カバーステッチをいれられるミシンは
カバーステッチ専用ミシン
と
複合型ロックミシン
の2つがあります。
順番にみていきましょう。
カバーステッチミシン
カバーステッチミシンとはこのようなものをいいます。
特徴はカバーステッチ専用のミシンということです。
カバーステッチから派生するチェーンステッチなどもできますが、基本的にはカバーステッチのみができるミシンになります。
通常の服で使われるロック始末はできません。
複合機ロックミシン
つづいて複合機ロックミシンです。
複合機ロックミシンとはこのようなものをいいます。
特徴はカバーステッチだけでなく、通常のロック始末もできることです。
ワンピースやスカートなど、通常の服の縫い代処理もできます。
それぞれのミシンのできることをまとめると、以下の通りです。
カバーステッチミシンの特徴
カバーステッチミシンのメリット
本格的なものづくりができる
専用だけあって、Tシャツの袖や裾をきれいに始末することができます。
また、袖口、裾などの伸縮性もキープすることができます。
カバーステッチミシンを使えば、お店で売られているクオリティのTシャツ(カットソー)に仕上げることができます。
カバーステッチミシンのデメリット
カバーステッチしかできないため、使い方が限られる
できることが限られているため、幅広い作品制作には向きません。
通常のロック始末をするためには、別途ロックミシンを購入する必要があります。
カバーステッチミシンのメリットとデメリットは以下の通りです。
複合機ロックミシンの特徴
複合機ロックミシンのメリット
ロックミシンとカバーステッチミシンのいいとこどり
複合機ロックミシンのよいところは、通常のロック始末と、カバーステッチの両方ができることです。
作品に応じて二つの機能を使い分けることができます。
ワンピースからTシャツまで、これがあれば、ほぼすべての縫い端始末をすることができます。
複合型ロックミシンのデメリット
価格が高い
複合機型ロックミシンのデメリットは価格が高いところです。
上の画像のベビーロック社の「縫工房」は30万円近くします。
とても高価です。
そのため、ホームソーイング、趣味用としては、手軽に手が出せない商品になります。
自分がカバーステッチ機能を「本当に使うかどうか?」が一番大切
本当に「カバーステッチ機能」が必要か?検討しよう
カバーステッチミシン、もしくはカバーステッチができる複合機ロックミシンの購入を検討している方は、まずご自身の用途を確認することをお勧めします。
趣味で服作りがしたい
たまに作品を売りたい
のでしたら、通常のロックミシンを購入することをおすすめします。
理由は、ロックミシンと通常ミシンの組み合わせでも、「カバーステッチの代わり」にすることが可能だからです。
以下で詳しく説明します。
ロックミシンと通常ミシンの合わせ技で「カバーステッチ風」に仕上げることもできる
こちらの図をご覧ください↓
通常の職業用ミシンとロックミシンがあれば、「カバーステッチ風」に縫うことは十分に可能です。
具体的には、先にロックミシンで端を処理をしておき、その後通常ミシンのステッチで押さえれば「カバーステッチ風」に仕上げることができます。
カバーステッチと比べるとやや伸度がなくなりますが(伸び縮みしなくなりますが)、それでも大きな違いはありません。
見た目もカバーステッチとほぼ同じになりますし、自分で着るにしても、作品として売るにしても大きな問題はありません。
ロックミシンの購入を検討される方はこちらの記事で選び方などをくわしく解説しています↓
「カバーステッチミシン」の購入をおすすめできる人
本格仕様にこだわる方やTシャツやカットソーを量産したい方
お店で売られているTシャツのような本格的な品質、またはTシャツなどを量産(たくさん作る)したい方にはカバーステッチミシンはおすすめできます。
ただ、その場合も複合機ではなく、カバーステッチ専用ミシンのほうを買うのが個人的にはおすすめです。
通常のロック処理機能がほしい方は、ロックミシンは別途購入したほうがいいと思います。
理由はロックミシンとカバーステッチ専用ミシンを分けて購入しても、複合機より安くなる場合のほうが多いからです。
また、ミシンなどの機械は
「構造が複雑になればなるほど、時間の経過とともに不具合が出てきやすい」
という特性があります。
これは以前、エンジニア・設計技師の方に教えていただき「なるほど!」と思いました。
機械、システムというものは多機能であればあるほど、その分不具合がでる箇所も必然的に多くなるそうです。
いいかえると、シンプルな構造の機械ほど壊れづらいんですね。
ミシンは高い買い物です。
一度買ったらできるだけ長く使いたいですよね。
でしたら、できる限り目的をしぼったものを購入することお勧めします。
買ってから後悔しないように、自分の用途・目的から慎重に選びましょう。
ロックミシンの選び方はこちらの記事で詳しく解説しています↓
以上カバーステッチミシンについて解説してきました。
お役に立てれば幸いです。
今日のまとめ
- Tシャツの裾などをにする処理を「カバーステッチ」という
- カバーステッチを入れられるミシンは「カバーステッチ専用ミシン」と「複合機ロックミシン」の二つがある
- 通常ミシンとロックミシンで「カバーステッチ風」に見せるテクニックもある
- 本当にカバーステッチが必要か?自分の用途をしっかり考えてから購入を検討しよう