数ある生地の中でも「シーチング生地」は最も基本的な生地です。
ベーシックで扱いやすく、おそらくどこの生地屋さんでも手に入れることができます。
今日はそのシーチング生地の特性と、使うメリットとデメリット、更には作品づくりのコツまで詳しく解説していきます。
シーチング生地とは?
シーチングとは太番手で織られた綿の平織物のことをいいます。
手で触ると、少しザラザラ、シャリシャリします。
薄手のものから厚手のものまで種類があります。
色は生成り(きなり:染色していないもともとの色。薄いベージュ)のものが一般的です。
生成りのほかに、カラーシーチングと呼ばれる色がついたシーチングもあります。
シーチング生地の特徴
シーチングは綿100%です。
太番手で織られているため、織り目はややざっくりしています。
手で触ると、少しザラザラ、シャリシャリします。
厚さによってはゴワゴワ感じるものもあります。
生成りのシーチングには大きく分けて
「薄手シーチング」
と
「厚手シーチング」
の2種類があります。
「薄手」と表現していますが、厚さは普通の生地くらいです。
生成りの一般的なシーチングといったらこの「薄手シーチング」を指します。
シーチングは基本的な生地です。
普通の生地屋さんで不通に購入できます。
シーチング生地を使うメリット
シーチング生地を使うメリットは以下の3点です
縫いやすい!作りやすい!
シーチング生地は綿素材で、ミシンで縫いやすい素材です。
粗く織られているため、縫い代が重なり厚みがある箇所も、簡単にミシンを進めることができます。
上画像のようにタテの三つ巻き縫いの上にヨコの三つ巻き縫いを重ねても、ミシンがスムーズに進みます。
また、アイロンでの「縫い代割り」や折り目もつけやすいです。
「切る」
「縫う」
「アイロンをかける」
など、作業がしやすく、作品作りがしやすいのがシーチング生地の1つ目のメリットです。
価格が安い!
シーチング生地は他の綿素材と比べて、価格が安いのも特徴です。
具体的には1m300円ほどで購入できます。
生成りなら1m300円~
カラーシーチングでも1m500円~で購入できます。
手に取りやすい価格がシーチング生地の2つ目のメリットです。
メリットその3:どこでも買える!
シーチング生地は手芸店ならたいてい売っています。
どこのお店でも簡単に手に入れることができます。
お店を選ばず、簡単に手に入ることが3つ目のメリットです。
シーチング生地はざっくりしているので、縫いやすい!
価格が安いのも魅力!
シーチング生地を使うデメリット
シーチング生地にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
シーチング生地のデメリットは以下の3点です。
しわになりやすい
シーチング生地の第一のデメリットとしてはしわにやりやすいことです。
特に洗濯後はしわが強く出ます。
これは水洗い後、天日干しをした後の状態のシーチングです↓
ご覧の通り、しわが強くでます。
天日干し後は、生地も固くなり、特にしわも強くなります。
洗濯後はアイロンがけが必要になります。
ただ、この洗濯後のしわが、アイロンでも取れないんです。
きれいにアイロンをかけているつもりでも、細かいしわまではとれません。
洗濯後の細かいしわは「天然繊維の特徴、アジ」と理解しましょう。
しわがつくとなかなかとれないことが、シーチング生地の1つ目のデメリットです。
仕立て映えしない
上で書いた「しわになりやすい」と関連しますが、シーチングで服を作ると、「仕立て映え」しません。
「仕立て映え」とは、作品に仕上げたときに
「様になっている状態」
「実際の価格より高級に見える状態」
をいいます。
「なんか安い生地で作ったのに、品よくきれいにしあがった!」という感覚、みなさんも体感したことがあるのではないでしょうか?
わかりやすく言うと、それが「仕立て映え」です。
シーチングで服を作ると
よく言うと「素朴、ナチュラル」
悪く言うと「貧相、着古した感じ」
に仕上がります。
シーチング生地は着用中もしわがつきます。
↑この程度のしわは着用するだけでついてしまいます。
そのシワを風合いやデザインとして活用する手法もありますが、ややプロ向けのテクニックです。
作品すると、いまいち仕立て映えしないのが、シーチング生地の2つ目のデメリットです。
肌触りが悪い
シーチング生地は太番手で織られているため、表面がやや粗く、ざらついて感じます。
そのため、直接、肌に当たるブラウスなどに使うと、肌にこすれて少し痛く、着心地が悪く感じます。
特に洗濯乾燥後は生地が固く感じます。
「肌に直接触れる服」に使うのは避けたほうが無難です。
細番手で織られた手触りがなめらかなシーチングも売ってはいますが、通常の手芸店ではなかなか手に入れづらいのが現状です。
特に肌がデリケートな子供の服作りにはシーチングは向きません。
子供服づくりにはシーチング生地を使用することは避けたほうが良いでしょう。
「肌触りが悪い」のがシーチング生地の3つ目のデメリットになります。
シーチング生地のデメリットは何といっても「しわ」。
また表面がザラザラしてるので、直接肌に当たると少し痛いです
シーチング生地は何につかうの?
次にシーチング生地、特に生成りのシーチングの上手な活用方法を紹介します。
練習用、試作用に活用しよう!
シーチングの上手な使い方はズバリ「試作品」に使用することです。
「試作品」=「試し縫い、仮縫い」ですね。
シーチングのメリットは縫いやすく、安く手に入れやすいこと。
本番の生地で作る前に、シーチング生地で一度試作品を作っておけば、難しい箇所が事前に分かりますし、本番の完成度が上がります。
実はプロの世界でもシーチング生地は「トワル」と呼ばれる試作品に使用されます。
トワルとはシーチング生地を使った仮縫いのことで、本番の生地で作る前の試作品のことをいいます。
このトワルを使って、服のバランスなどをデザイナーさんと最終確認します。
このシーチング生地の使った試作品の確認を「トワルチェック」と呼ばれます。
アパレル企業ではこのようにシーチングは「試作用の布」として広く活用されています。
シーチング生地は安く買えるので、失敗しても大きな痛手ではありません。
様々なトライアルができるのがシーチング生地の強みです。
ご家庭でも、シーチング生地は試作品づくりに活用していきましょう。
ミシンの練習に活用しよう!
シーチングは縫いやすく、鉛筆やチャコペンで線も引きやすいです。
ミシン初心者の方はシーチング生地を練習に活用するをお勧めします。
特に役に立つのが、「ポケットづくり」の練習です。
「箱ポケット」や「玉縁ポケット」と呼ばれるポケットは作成中の服の本体に、はさみで切り込みをいれて、作成します。
ハサミを入れるので、手違いで失敗するともうアウト!
(失敗の経験がある方も多いと思います。。)
シーチングをポケット作りのシュミレーション、練習に活用しましょう。
シーチングは試作、試し縫いにおおいに活用しよう!
お得!シーチングを安く買う方法
シーチングはもともとの価格が安いので、なかなか価格が下がることがありません。
ただ実店舗の生地屋さんならお得に買える方法もあります。
実店舗(特に大型店舗)の生地屋さんを訪れる際は、ぜひ「お買い得ワゴン」の中をチェックしてみて下さい。
生成りのシーチングなら5m、10mなど「カット済み」のシーチングがある場合があります。
ボリュームのあるシーチング生地が定価より安く買えます。
ただカット済みのものはしわが入っていたりと、あまりきれいではありません。
あくまで「試作用」と割り切っての購入をおすすめします。
実店舗では「お買い得ワゴン」をチェックしてみください。
大型手芸店に行ったら「ワゴンの中」をチェックしてみよう!
シーチング生地のお手入れ方法
綿100%なので、洗濯機で洗濯できます。
ただ前述のように、洗濯機で洗うと、洗濯後のしわが強く出ます。
気になる方は手洗いなどにしてください。
洗濯後の乾燥機は絶対に避けてください!
100%縮みます。
洗濯後は形を整えて、天日干し(できたら日陰干し)にしてください。
シーチングに乾燥機はダメ!ぜったい!
シーチング生地で作品を作るコツ
ミシン針は11番手、糸は60番手を使おう
ミシン針は11番手、糸は60番手(スパン糸)でよいでしょう。
シーチングは縫いやすく、デリケートな生地ではないので、厚手薄手問わず、この番手でOKです。
アイロンは高温に設定しよう
シーチングは綿100%なのでアイロンは高温でOKです。
ただし、生成りのシーチングは高温でアイロンを長時間当てすぎると、黄色に焦げる恐れがありますので、ご注意ください。
しわが気にならないアイテムにつかおう
シーチングで服を作るのはおすすめしていません。
やはりザラザラしていて肌触りが悪いです。
後述しますが、シーチングで作るなら、トートバッグやポーチなどの小物がおすすめです。
小物ならしわも気になりづらいです。
シーチングの特性を活かして作品を作ろう!
シーチング生地で作れるもの
シーチング生地で作るならバッグがおすすめ!
生成りのシーチング生地で作られたエコバッグも店頭でも見かけますよね?
このような、「道具」でしたら、シーチング生地で作るのに向いています。
ヘルカハンドメイドではバッグの作り方を公開しています。
型紙も無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
バッグならしわも「味」として見られます。
また、服と違い、体に直接触れるものではないので、ざらついた風合いも気にはならないでしょう。
バッグだけでなく、同じ「袋物」でポーチなども「あり」ですね。
作品作りに使うなら「カラーシーチング」という選択肢もあり!
シーチングの色といえば、一般的に染色していない「生成り」のものをイメージしますが、染色した「カラーシーチング」というものもあります。
こちらは生成りのものと比べて、やや高くなりますが、カラーが豊富にあるため、作品作りの幅が広がります。
シーチング生地のまとめ
- シーチング生地は手軽で、手に入れやすい生地。
- メリットは扱いやすいこと、デメリットはしわが入りやすく、肌触りがやや悪いこと
- 服作りに活用するなら、試作用として、作品作りなら「バッグ」などの道具に使うのがおすすめ
以上、シーチング生地について解説してきました。
うまく活用して取り入れてみてください。